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(映画)『がめつい奴』(1960年 千葉泰樹) [映画]

釜ヶ崎の宿泊所に住む人々を描く喜劇。題材として東宝に似つかわしくないが、菊田一夫の舞台の映画化なのでということ。舞台で評判をとった主要人物--三益愛子の化粧はとても本人には見えない--がそのまま出ていることと、脇役陣の配役--草笛と団の姉妹、森繁、加東大介など--、また通天閣が背後に見える釜ヶ崎周辺の再現セットなど素晴らしく、非常によくできた映画化だった。
まず、冒頭の、車が衝突したと聞くや、皆が宿所から飛び出し、運転手を病院に行かせているすきに、車を解体して各自が手にした部品をあっという間に売りさばいてしまうという場面の展開の早さが映画を快調に進める。森雅之が演じる男の非道ぶりが、ドケチな主人公を霞ませるほど。
せっかく貯めた婆さんのお金が無情にもなくなるというのが、よくありそうな展開だが、そうならないのは、貧乏な人々への温かい視線があるからなのだろう。最後の物乞い場面は泣かせる。
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