（B）『ライムスター宇多丸の映画カウンセリング』（宇多丸著 新潮文庫）

宇多丸は、映画館で新作をできるだけ追っかける見方を基本としているのだろう。これを読むと自分が90年代以降の洋画をぜんぜん見ていないことに気づく。登場する映画の半分くらい題名も聞いたことがないものだもの。でも彼の話芸によって--わざと「しゃべり言葉に寄せた文体にしている」とのこと--とても面白く読める。（実際、この映画を見てみようというのはあまり多くはなかったたが。）
音楽が本業の人に、こんな本をだされて、映画評論家を名乗る人たちは恥ずかしいだろう。
音楽といえば、岡村ちゃんとの対談が最後に掲載されているのが目玉で--私もだからこの本を買った--岡村ちゃんの映画好きぶりを知って嬉しくなった。最近面白かった映画として、『岬の兄妹』を挙げる人はそういない！