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(V)『ダンディー少佐』(1965年 サム・ペキンパー) [ヴィデオ]

南北戦争が北軍優位で終わろうとしている1864年末。暴れん坊の先住民を征伐するため、北軍ダンディー少佐が、南軍の捕虜の中からも有志を募ってメキシコを行軍するという話。
出陣する際、北軍所属の人が「リパブリック賛歌」を歌えば、南軍所属の人たちは「ディキシー」を歌って対抗する。そこに、軍人ではない盗賊たちの寄せ集めが、「愛しのクレメンタイン」を歌いだすという三つ巴がとても面白かった。
肝心の先住民はなかなか見つからず、半年近い行軍の中で起こる、さまざまな軍隊内の出来事が話の中心。主人公は強烈な統率力がある人物で、仕方なく従っている南軍を束ねる長とのやりとりが見どころ。
途中、主人公は女医と川遊びをしているときに先住民に襲われ怪我をし、軍から離れて傷を癒す。その間酒に溺れたり、地元の女と懇ろになったりという場面があって、彼も人間として弱かったという描写がある。(女医にそれを見られて愛想までつかされてしまう。)もともと、123分だったこの作品、2005年に136分となった修復版を見たのだが、この挿話が付け加わったのでないか。この挿話によって、主人公より、南軍の長の方がずっと立派な人物に見えてしまう。
先住民だけでなく、北軍と戦うために派兵されてメキシコに居るフランス軍--バラバラな服装の主人公たちに比べ、同じ制服を着て統率がとれている--も彼らの敵で、かなりの人数犠牲が出てしまう。傷ついた南軍の長が、相手に切りこんでいく様は、日本の時代劇のようだった。
先住民の征伐は、逆待ち伏せによりあっさり終わり、ダンディー少佐を称えるような余韻を残さず幕となる。
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