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(映画)『陽のあたる坂道』(1967年 西河克己) [映画]

脚本に池田一朗の名前があるのは、田坂版の脚本を元に倉本聰が短く書き直したということだろう。田坂版の三時間半をちょうど半分の長さにしているので、田代家の娘の挿話が少なくなり、主人公と田代家に来た家庭教師の話に絞られた。話がわかりにくくなったということはない。
時代の風俗もうまく取り込んでいて、ジャズ喫茶での歌も、ザ・バトラーズという生ギター・コーラスグループとともにフォークソングになっていた。(冒頭、主人公が家庭教師の胸を触るのではなく、ペンキを塗るに変更したのも、世の中が変わったせいだろうか。)駒沢公園の広々として洒落た様式の建造物も時代の新しさを感じた。
西河監督は、ロケで複数の人を捉えるのがうまく、川原での殴り合いの場面、神宮の並木道を二人で走る場面、そして最後の坂道を二人で歩く場面が、印象的。
どうしても演じる役者を田坂版と比べてしまい、主要人物はやはり田坂版の方が役者が一枚上と感じたが、母親、兄、弟は、こちらの方がよかった。渡哲也の歌う主題歌も爽やかで心地よい。
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