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(V)『砂漠の流れ者』(1970年 サム・ペキンパー) [ヴィデオ]

冒頭、砂漠を食料と水を求めてさまよっていた主人公は、二人組の男たちによって、ロバを始めとする持ち物すべてを奪われてしまう。何とか生還して、二人組に復讐する話かとみていたら、そうはならず、それから四日間もさまよったあげく、これでもうダメとなったときに湧き水を発見する。彼は、その周辺の土地を買って家を建て、そこを通る駅馬車に水を売る商売を始める。
土地を買いに町へ行き、そこで娼婦に一目惚れするという前半は井戸を離れる場面があるけれど、後半は、主人公が居る場所だけで話は展開する。冒頭の二人組も彼らの方がやってきて、結果主人公は復讐を遂げてしまう。
『ゲッタウェイ』でも少し感じたが、ペキンパー監督は普通なら見せてしかるべき場面を見せないという嗜好があるようだ。たとえば主人公と娼婦が寝る場面や、主人公が死ぬ場面など。それが余計この話をおとぎ話のように見せる。テーブルに皿を打ち付け、上から水をぶちまけて洗浄して、日光消毒とか、スローモーションを使っていないどころか、コマ落としで人物があわてふためくところを見せるなど、見るものを楽しませてくれる。
世間では自動車がバイクが登場し始めた時代で、ペキンパー監督がこの話に惹かれたのは、世界は自分中心に動いており、文字通り動かなくても生きていけた時代への郷愁ではないか。
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