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(V)『夜霧の慕情』(1966年 松尾昭典) [ヴィデオ]

主人公が刑務所に入る親分から情婦の面倒を頼まれるという冒頭は、『夕陽の丘』の再映画化かと吃驚した。また、彼女の部屋の窓から原爆ドームが見えることで、広島が舞台だとわかり、これも吃驚。(皆標準語をしゃべっている)地方都市という設定は必要だが、特に広島にする必然はにない話。
結局、『夕陽の丘』の冒頭に至るまでを丁寧にみせたというような話。彼女を好きなのだが、親分を立てることの方が大事という主人公の方にこそ裕次郎は似合う。主人公とともに、親分、兄貴分、女の主要人物の存在感が際立っていて、悪い組を主人公が懲らしめる最後の展開は、ちょっと無理矢理なところはあったが、最後の男と女の情感たっぷりな場面は素晴らしかった。
桑野みゆきが相手役というのが珍しい上にぴったりだったが、60年代も半ばになると浅丘ルリ子を除くと、日活にこのようなバアの女主人を演じられるような女優が見当たらなかったということか。
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