SSブログ

丸山健二トークイベント 「文学、庭、そして『人の世界』」@二子玉川蔦屋家電(01/29/2020) [講演]

いきなり、「2020年を丸山健二元年と定めた。あと25年続ける。」との宣言。すなわち百歳まで書き続けるということで、これは14年前の講演と変わりない。
柏櫓舎から刊行されていた全集が、資金の問題で昨年突如中止となったけれど、今後は自ら出版社を立ち上げ、新作や全集の続き--『千日の瑠璃』もすでに出来上がっているらしい--を「産地直送」で届けるという、とうとうインディーズ歌手のような体制にするとの由。
近年「塾」なるものをやっているせいか、映画や庭などと絡めて、文学について語る話は具体的だった。今回は、「文学とは人の世界を描くこと」と言っていた。また、捨てた作品がたくさんあるというのは意外だった。丸山の場合、一旦定めたら完成するまで粘るのかと思っていた。
最近の小説に私が違和感を覚えていた点については、どうやら新しい形式に挑戦していた結果のようで、それはすなわち、「物語に沿った意識の流れではなく、意識の流れを優先し、それを意図的に挿入している」からのよう。三年かけたという春の新作『ブラック・ハイビスカス』では、その形式がほぼ完成したとのこと。全四巻で一体いくらになるのかわからないが--二万円は超えるだろう--、産地直送で読まねばという決意を固めた一時間半の至福の時間であった。
nice!(0)  コメント(0)